諸国名人絵噺

諸国名人絵噺●誌上展

北海道 木彫り 藤戸竹喜

北海道 木彫り 藤戸竹喜

(社会新報/1986年9/26)
「諸国名人絵噺」
北海道 木彫り 藤戸竹喜 五十二歳

親父は木彫り熊をやっていたの
僕は十二の時に父に習ってこの道にはいった
それから十五の時に家を出て色んな人の木彫りを習得しようと各地を廻って弟子入りし修行をしたの
アイヌ人は動物と共存して生活していたから
動物の恐ろしさ可愛らしさ素晴らしさを見ている
だから各人の動物の(見方)彫り方を学ぼうと思った
親父の所にいたら親父の熊しかわからないし、その熊が一番だと思ってしまうからね
僕は親父以上になりたいと思っていたから
独立してからは動物だけでなく観音像やレーニン像
松前重義像(東海大総長)なども頼まれて彫ったよ
松前さんの時は彼の話し方動き方癖を摑もうと思い一週間とことん付き合ってもらってから彫った。
これからは売るという作品だけでなく残る作品を彫っていきたい。
アイヌ民族の生活の姿などを保存するつもりで作っていきたいね。

 

高知 竹細工 西村和明

高知 竹細工 西村和明

(社会新報/1986年9/26)
「諸国名人絵噺」
高知 竹細工 西村和明五十四歳

ここは昔から竹細工が盛んやけど
近代はプラスチック製品におされておる
なんとか竹の良さを皆にわかってもらいたいと竹の美を追究して竹細工を作っとるんです
竹そのものが素晴らしい無限の味を持っとる
自分の夢を大きく膨らましてくれるという無限のものがあるんですわ
竹を愛する気持ちになれば竹はこたえてくれる
わしの夢はいつか〝竹取物語〟の世界を一生かかっても表現してみたいと思っとるんです。


諸国名人絵噺

全国の名人を追い求めた藤森玲子のクローズアップ・イラストレーション。

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