『河童フォーラム』 第16回九州かっぱサミットinみふね

田辺達也

司会者として冒頭のコメント

 は虫類のご先祖様になる恐竜・アロザウルスと、ほ乳類の子孫になるガァーッパ(船太郎・お福)が仲良く暮らすここ御船町で第16回九州かっぱサミットが開催されたことを大変喜んでおります。

 河童フォーラムの司会は八代の田辺がつとめます。河童共和国の大統領でございます。 

 昭和の河童ブームは芥川龍之介が小説『河童』を発表したころから始まったという説があります。この説に従えば、河童ブームは八十数年つづいていることになります。とくにこの三十年ばかり、河童によるマチ興し運動の勃興と発展に刺激されてか、夏祭りの主役に躍り出て、カッパと言えば今や「水環境の守り手」の代名詞にさえなっております。

 熊本県内でも河童が主役の夏祭りは、御船のガワ~ッパ祭り、八代のくまがわ祭り、相良村のサガラッパ祭り、天草は栖本のガッポ祭りなどが知られています。御船のガワーッパ祭は今年で38回ですから河童主題のお祭りでは日本で5本の指に入れてよい息の長さではないかと思います。

 今年は岩手県の遠野市で、赫肌カッパや座敷わらしが出没する柳田国男の「遠野物語」から百年を記念して地名研究者の全国大会が開かれました。テレビでは連続ドラマ「ゲゲゲの女房」が始まり、水木しげるさんの出身地(鳥取県境港市)はいま妖怪ブーム・河童ブームに沸いています。JR境港駅前から始まる妖怪ロードは、ご存知『河童の三平』のモニュメントから始まっています。全国規模の河童サミットも、23回目が六月、長野県内で開催されたばかりです。

ときに、最近ゾッとする怪事件が頻発して日本中が大騒ぎになっております。百才以上の「神隠し」が七十名を超えたというのです。昔むかしの民話の語りには子供の神隠しはありましたが……。

「事実は民話より奇なり」

 高齢者が放置されて行き先不明になる平成のミステリーには、社会と人間崩壊の悲しみが垣間見えており、ただごとではありません。

 河童共和国には『河童の和と輪・あなたが主役」という合言葉があります。なごやかさと扶け合いの心です。今日は河童と恐竜の未来だけでなく、我々人間様の未来も大いにあることを語り、もやもやと暑さを吹っ飛ばしたいものです。

 前語りはこの位にして本日のパネラーを紹介します。詳しくは冊子をごらんください。

 まず一番手の沖田先生は地元の郷土史家で保育園の園長先生です。御船町のエースとして河童と恐竜の町を全国に大いに売り込んでいただきます。

 河童族のパネラーとして、海外からは台湾の林錦松先生をお招きしました。六年前、台北で河童主題の国際会議を主催していただきました。この六月、長野県内で開催の、第23回河童サミットで記念講演されたばかりです。台湾経済界の重鎮としてご多忙のなかをありがとうございました。著書に『調和と対立』があります。日本語で書かれています。

 次に国内の河童族代表として宇田川敬之助先生です。デズニーランドで有名な千葉県浦安市からお出いただきました。千葉県議会議員時代は芸術文化振興議員連盟会長、童話作家、クラシック歌手など多彩な活動が知られています。地元浦安・境川の浄化運動の先頭に立っての活躍です。近著に『浦安かっぱ物語』があり、本日限定20冊持参されています。

 林先生と宇田川先生は河童族の全国組織、河童連邦共和国No2(副大統領)を兼任されています。

 九州かっぱ族からは、球磨川上流域の人吉市から、郷土史家で民俗・地名研究者の前田一洋先生にお願いしました。球磨川河童共楽国の国主として、昨年、相良村の河童サミットの成功に寄与されています。河童誕生のルーツと言われる中央アジアのタクラマカン砂漠探訪などおもしろい話が聞けるか思います。近著に『さいばさいばー球磨盆地の戦中戦後』などがあります。

 最後に、御船町で河童の結婚式をした十四年まえ、仲人の大役を務めた河童共和国名誉大統領、八代の福田瑞男先生が急病で出席できなくなりました。産科婦人科のドクターとしてお福さんのおめでたを診断し、再会を楽しみにされていただけに「大変残念・御船サミットの成功を祈念します」のメッセージを言づかって参りました。

 講師への質問ですが僅か75分ではこの場での応答は時間的に無理かと思います。フォーラムの延長戦は夜の懇親会ということで、酒杯を重ねがらの河童談議をお願いいたします。

二〇一〇年八月